狼の事情

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知らなかった 先輩がそこまで私の事を考えていたなんて 嬉しくて嬉しくて、私は先輩に寄り添った 智「・・歩きづれぇ」 『へへへ』 歯を見せて笑うと、先輩はじーと私の顔を見つめた 『・・え、あの・・・?』 智「・・・」 なんだか安心したような、ホッとしたような、そんな表情 私は先輩の鼻を突く 『・・どうかしました?』 智「・・・」 先輩は何も言わず、キスをした 私は驚いたけどそのキスを目を瞑って受け入れた 先輩、好き・・・ 想いは膨らんでいく 智「・・もう別れるとか言うなよ」 そう言った先輩の声は風に流されていってしまいそうなくらい、か細くて 私はぎゅうっと力強く先輩を抱きしめた 『二度と言いません』 鬼畜で冷酷 冷めきった瞳 嘘つきな唇 彼の言う言葉には ‘残酷’という名の毒が盛られている ついたあだ名は[狼] しかしそんな狼には、誰も知らない表情がある 素直じゃなくて ちょっと泣き虫で 恋には奥手 そんな子犬のような彼 それが彼の ・・・¨狼の事情¨ .
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