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智「あれはお前を見に来てたんだよ」
先輩はスッと私から離れてそう言った
嘘だ~と言う目で先輩を見ると、むっと口をへの字に曲げた
智「俺はキレると周りが見えなくなんだよ
・・・お前をあんな風に怖がらせたし
でも、やっぱ気になって会いに行けば、お前逃げるし泣くし」
『だって・・・先輩怖かったもん』
冗談で言ったのに、先輩は眉を8の字にして落ち込んだ
智「・・わりぃ」
『いや、私が悪かったんです!』
慌てて先輩の手を握れば、ぎゅっと握り返して、こくんと頷いた
『・・ねぇ先輩』
呼べば、優しい目つきで私を見る先輩
『莢華のこと、ごめんなさい』
気になっていた内の一つはこれだった
先輩にお前は関係ないと言われ、なんでって思ったけど
改めて考えれば、関係ない人に干渉されるのって嫌だよね
先輩は「あ~・・」と声を漏らし、言葉を続けた
智「あんまお前に心配事増やして欲しくねぇんだよ」
『え?』
智「確かにお前のお陰で莢華は外に出られる様になったし、幹哉も我慢しなくなった
・・でも、それでお前が俺の家の事で悩んで気疲れしたら申し訳ねぇじゃん
言い方悪かったけど、お前は何も考えなくていいよ」
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