狼の事情

5/7
383人が本棚に入れています
本棚に追加
/344ページ
智「あれはお前を見に来てたんだよ」 先輩はスッと私から離れてそう言った 嘘だ~と言う目で先輩を見ると、むっと口をへの字に曲げた 智「俺はキレると周りが見えなくなんだよ ・・・お前をあんな風に怖がらせたし でも、やっぱ気になって会いに行けば、お前逃げるし泣くし」 『だって・・・先輩怖かったもん』 冗談で言ったのに、先輩は眉を8の字にして落ち込んだ 智「・・わりぃ」 『いや、私が悪かったんです!』 慌てて先輩の手を握れば、ぎゅっと握り返して、こくんと頷いた 『・・ねぇ先輩』 呼べば、優しい目つきで私を見る先輩 『莢華のこと、ごめんなさい』 気になっていた内の一つはこれだった 先輩にお前は関係ないと言われ、なんでって思ったけど 改めて考えれば、関係ない人に干渉されるのって嫌だよね 先輩は「あ~・・」と声を漏らし、言葉を続けた 智「あんまお前に心配事増やして欲しくねぇんだよ」 『え?』 智「確かにお前のお陰で莢華は外に出られる様になったし、幹哉も我慢しなくなった ・・でも、それでお前が俺の家の事で悩んで気疲れしたら申し訳ねぇじゃん 言い方悪かったけど、お前は何も考えなくていいよ」 .
/344ページ

最初のコメントを投稿しよう!