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学校という場所に、俺には友達はいなかった。
上流階級とか身の毛がよだつ。
正直、学校も好きではない。
それでも学校にくるのは、奈己さんから離れることができるから。
けれど…、まぁ、そういう運命なんだろう。
学校にも変態ショタ女っていうのはいて、俺は教師にも体を弄ばれる。
まだ奈己さんよりはこの女のほうがましだった。
自分の立場っていうものを理解しているから。
「先生、チャイム鳴りますよ」
「もう少し…」
「先生が授業に遅刻させたって言えばいいんですか?」
俺が言うと、教師は渋々といった感じに俺を離してくれる。
乱された服を整えていると、唇にキスされた。
「神崎くん、また個人授業受けにきてね」
「ちゃんとした授業だけなら喜んで受けさせてもらいますよ」
「こっちの授業もいいじゃない」
「理事長に言いますよ。教師に犯されたって」
「あははっ。それはダメ。お願い、許して」
俺は溜め息をついて、その部屋を出る。
大人の女は俺を玩具にする。
俺の無力さをわかりきったかのように。
例えば俺が本当に理事長に言いつけたとしても、あの女は俺が嘘をついているとでも言うだろう。
大人は俺を信じないだろう。
父に奈己さんのことを言ったとしても、奈己さんはうまく立ち回るのだろう。
父は俺を信じないだろう。
俺のまわりには、人がいるようでいない。
俺を理解してくれる人なんているはずもない。
唇を噛んで、悔しさに耐えて孤独に耐えて…。
それでも生きていくのはなぜ?
なぜ生きなければならない?
なんのために生きる?
俺は学校が終わるとゲームセンターにいく。
家に帰りたくないからだ。
それだけの理由。
別にゲームは楽しくもないし、制服も容姿も中学生バレバレで6時には追い出されるけど。
暗くなりかけた空の下、追い出されたゲーセンの前でコーヒーを飲んでいると、俺の目の前にチャリンっと鍵が落ちてきた。
あたりを見回すと、一人の高校生らしき女が携帯で話ながら歩いているのが見えた。
…面倒だ。
見なかったふりをした。
「うん、今、駅に向かってる。えっと…あれ?やだっ。家の鍵がないっ」
更に無視。
「ちょっ、またあとでねっ」
女は携帯をきってあたりを探してうろつく。
その姿を横目に見ていた。
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