48人が本棚に入れています
本棚に追加
「いぃぃいいざぁぁあああやぁあああっ!!!」
「おや…?」
「何しに来やがった。池袋にはもう来んなっつただろうが!」
にこりと笑みを浮かべ、振り返るは折原臨也。
その視線の先にはこめかみに血管を浮き上がらせ、標識を片手に掲げた金髪にバーテン服の男の姿。
「やだなぁ。新宿からシズちゃんに逢いに来たのに」
臨也の笑顔が一瞬にして悪意に満ちた笑みへと変わる。
するりと、器用に、ファーのついた袖口から折りたたみナイフが姿を見せる。
手にしたと同時にキラリと光る銀色。
切っ先をバーテン服の彼へ向けた。
「わざわざ足を運んだ相手にそんな言い方は酷いじゃない」
「誰も手前ぇに来てくれなんて頼んでねぇ…それに、手前ぇが池袋に現れると空気が汚れちまうからさっさと消えろ。永遠によぉ」
振り下ろされた標識をひらりとかわし、シズちゃんと呼ばれるその男にナイフを突き立てた。
状況が既に非日常だが、彼らにとっては日常茶飯事。
ナイフで刺した感触は普通では有り得ないもので、普通ならバーテン服の男は非日常に値する。
臨也にとっては非日常ではないとでもいうように『やっぱり』と呟いた。
人を刺した感触の次の瞬間にはコンクリートでも刺してる様なそんな気になる。
ナイフの刃が先に進まないのだ。
人を刺したという手に伝わらない感触にただただ呆れた様に笑みを浮かべ
「シズちゃん、相変わらず刺さらないね……本当化け物」
と、一言。
至近距離で告げた。
5mm程しか刺さらなかった銀色を抜いては面白くないとでもいう様な表情を見せる。
「そのふざけた呼び方やめろっつてんだろ…俺には平和島静雄って名前があるって何度言えばわかるんだ、手前ぇはよぉぉおおお」
最初のコメントを投稿しよう!