聖なる息子のピンチ

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吐く息がたちまち白く変わり、吹く風に肌寒さを感じる今日この頃。 商店街は早い時間から、大層な賑わいをみせていた。 棚に並ぶ玩具やぬいぐるみは、いい年をした大人のオレでも目を引かれる。 実際、それを買っているのはほとんどが大人達だ。 全ては、二日後に迫った聖なる夜のためだろう。 子供と大人。双方にとっての一大イベント──クリスマス。 オレも昔はサンタの正体を確かめたいと思い、必死に寝たふりをしてプレゼントを待ったものだ。 そして今はそれを与える立場にある。 顔もキャリアも全てが平凡なオレがなぜか、すれ違えば全員が振り返るような美人である文香と結婚。 息子も産まれ、健やかに育ってほしいと願いを込めて名付けた健太は、今や小学三年生だ。 時が経つのは早い。 懐古の念を抱きながら、オレは帰路についた。
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