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期待に瞳を踊らせていた健太。
「……」
が、包装紙を開けたときの反応は、予想していたものとはかなり違っていた。
数秒輝いた瞳で固まっていたが、やがて躊躇いがちに視線を落とす。
「……そうだよね。サンタクロースだって忙しいよね」
そして絞り出されたこの言葉。
「メ……メリ~クリスマ~ス?」
自分でも言っていて謎の疑問形を発しながら、オレは瞬時にあれこれと頭を回転させた。
一体どうした?
ここは、
『うわぁ! 僕が欲しいって思ってたゲームだ。なんで分かったの? そっか、サンタだからか!』
って感じが普通だろ。
もしや文香の眼に狂いがあったのか?
いや、仮にそうだとしても、ここまでがっかりする外し方をするだろうか?
だが健太の言葉からして、なにかを誤ったのは間違いない。
きっと渡されたプレゼントに不満があるんだ。
──そうか!
最近は同じゲームでも、対応するゲーム機が違うパターンがあると聞いたことがある。
まさか文香の買ったゲームは、家にある機械では遊べないのか?
くっ!
メーカーめ、余計な計らいをしやがって。
どうする。どうする? どうすればいい!?
このままじゃ健太は、せっかく取り戻しかけた夢をまた失ってしまうかもしれない。
ああ、所詮じいさんに、若者の欲しがっているものなんてわからないんだな、と。
それだけは阻止しなくては。
といっても、その手立てはない。
オレ達のサンタクロース大作戦は、失敗に終わろうとしていた。
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