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パーティーの主役である渡邉は体育館の隅の方に座っていた
丸型のテーブルに溝口、上田、大山と座っている
テーブルの上には料理の代わりにトランプが置かれている
もちろん彼等の手にも数枚のトランプが握られている
「部長」
「あ、素子さん、受付ご苦労様」
話し掛けられた大山は視線を決してテーブルから外すことなく、後ろの素子に話し掛けた
他の三人も同様にテーブルから視線を外さない
「こんなとこでもトランプか」
「こんなとこだからこそだよ!」
「意味が分からん」
「黒木には分からないだろうな。俺達は常に争い続ける宿命にあるのだ!目指すはナンバー…」
「ワン!」
「そうそう、分かってるじゃないか。ナンバー…」
「わぁぁぁぁぁぁ!!」
溝口が悲鳴を上げながら、椅子ごと倒れこんだ
そのまますぐに立ち上がったかと思うと、素子から逃げるように離れていった
「あれ?その犬どうしたの?」
ようやくトランプから集中が切れたのか、素子に向き直った渡邉がパァッと笑顔になった
素子に抱えられたまま、尻尾をブンブン振り回す子犬がいた
「ああ、何か知らないがついてくるんでな。とりあえず連れてきた。で、あいつはどうしたんだ?」
「あぁ、ミゾは犬が苦手だからね。というかありゃ恐怖症だな」
「まだ子犬だぞ?」
「小さかろうが大きかろうが犬がダメなんだ」
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