告白はタイミングだ

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その日、彼女はちょっと急いでいた。 友人と約束があったので、SHRが終わってすぐに1人で下校した。 同じ制服の生徒はほとんど居らず、この時間帯に帰る人もまばらだった。 彼女はお気に入りのスラッシュメタルを聞きながら、電車が来るのを待っていた。 音量は大。 周りの音や声は全く聞こえない。 ふと、隣に気配を感じて見てみれば、中学生時代の同級生が立っていた。 彼が通っている学校は、自分の居る駅よりも先にあり、この時間帯にここに居る事は物理的にありえない。 気のせい。もしくは見間違い。 彼女はあっさりと彼を無視した。 話しかけられていたとしても、彼の声は聞こえない。 彼女は電車の扉の前に立ち、曲に全神経を集中させた。 彼に対して、全く興味がない事が災いしたのかも知れない。 彼女は彼を居ない者として扱った。 要するに、彼よりも曲の方が大切だと言う意思表示でもあったのだ。 大抵はこれで引き下がる。 彼女が男に対して求める物は、経済的にも精神的にも自立している事だった。 だから同年代の男子には、毛ほどの興味もなかったのである。
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