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痛い程の視線に曝されていると言うのに、自分はへらへらと笑っている。
絡んだ視線の先に少々の棘を含め見れば、先輩の頬がぴくりと痙攣した。
「で?自分をどうしたいんですか?」
具体的に餌を差し出し、先輩が話しやすいようにしてみる。
脳内では言葉に出来ないような事を想像し、先輩を視線で刺しながら、自分は困惑顔の彼女の手を取った。
柔らかく温かい。
女性らしい繊細な指先は僅かに冷えていたが、自分の凍ったそれよりもずっと温かかった。
「イチャイチャするのは……俺への当て付け?」
先輩の見当違いな問いかけに、自分は思わず彼女を見詰める。
「鈍い」
ざっくりと彼女によって突き付けられた事実に、自分は唖然とするしか無かった。
全く予想外な事が起こると、固まってしまう質だったようだ。
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