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自分が凍り付いた事に気付いたらしい彼女は、咄嗟に繋いだままの手をぎゅうっと握る。
見た目にそぐわず、彼女は握力が強い。
って言うか、自分は彼女以外に興味はないんだが。
「あっちに行こうか?」
人気のない方を指差し、自分は彼女の顔を覗き込む。
ほんのりと赤くなったままの頬が可愛らしい。
顔が緩んでしまうのは仕方ないだろう。可愛いんだから。
「無視か……」
何かを言い掛けた先輩は、自分の蹴りで小さく呻いた。
「邪魔しないでね?」
にっこりと微笑んで、自分は彼女と手を繋いだまま歩き出す。
一部始終を見ていた友人から、放置された先輩の『ドM疑惑』を聞かされて、ちょっぴり興味を持ってしまった事は、彼女には内緒だ。
どうやら自分の周りには、自覚なき変態さんが集まって来るらしい。
やっとそれに気付いたのはこの時期だった。
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