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そしてたった今、決勝までに生き残った2人が決まった。
1人は上半身の黒い肌と筋肉を晒し観客に魅せている。
掠り傷やちょっとした切傷程度でしか血が出ていない…
この決勝でこの程度の怪我だけということは、この黒人が大層腕が立つことを意味している。
1人はつい先程までに闘い勝利した者。
まだ発達途中なのだろうか、小柄な躯をしているが、口許を黒い布で隠し、全身真っ黒の軍服に似た服を着ているため、素肌をよく見ることは出来ない。
辛うじて見える部分により白い肌だと解る。
20分の休憩の後、生きて帰れるたった一人の真の勝者が決まる。
……だが、どう見てもあの小柄な者が勝てるとは考えていないのであろう。
観客は既に黒人の勝利だと思っているようだ。
どうやってあの白い肌に傷を付け、いたぶるのかを想像して談笑しあっている。
戦士2人は各々の控え室に戻り新しい武器を決めている。
観客と違い、黒人の男は死合いを見ることなくてもあの小柄な相手が今までの相手よりも遥かに強いということを感じていた。
どちらとも、だてにこのコロシアムで決勝まで登り詰めたわけではない。
無防備な事はできないと云う様に、男は緊張の汗が伝った。
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