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桔梗ちゃんに思いを馳せていると、ピーちゃんはいつの間にか籠から居なくなっていた。
……自由だな。
「秋―、レオに餌やってー」
リビングにいるお母さんの声だ。
「わかったー」
レオとは家で飼ってる犬の事だ。
こちらは私に似たようで、おバカさんだ。だが、犬大好きな私はそこも可愛いなんて思ってたり…
まぁぶっちゃけ、散歩とか餌を与えて甲斐甲斐しく世話をしている私より、時々来る桔梗ちゃんになついている。
……ここも私に似て面食いだ。
しかし桔梗ちゃんには、レオが気に入らないらしく、「馬鹿犬」と呼んでる。
…理由は私がレオを世話しているから…らしい。
つまりは構ってくれということか……うん。可愛いな。
「はいレオ、どーぞ」
「オン!!」
…ちなみに、家のレオは「ワン!」ではなく「オン!」と吠える。
レオを撫でると、気持ちよさそうに無防備にダラーンとなる。
さて、そろそろ行きますか。
カバンを持って自転車に跨がると、お母さんに会う。
「行くの?…気を付けてね」
「はーい……あ。今日中くらいに桔梗ちゃん帰ってくるんじゃない?」
…………お母さんの顔が一瞬強張った…
「……そう…なの、わかったわ。いってらっしゃい」
「…うん…いってきます!」
わざと明るい声を出してニコッと笑う。
………いつも感じる違和感。
桔梗ちゃんと両親は壁がある。
桔梗ちゃんもそれを仕方ないと言っていたが、意味がわからない。
ちっちゃい頃からこんな風だから、桔梗ちゃんは何も悪いことはしてないと思うけど……
モヤモヤしながら学校に向かっていく。
……キキキキギキキ―――ッッ!!!!!!
ッドガンッ!!!
息を忘れる程の衝撃が全身を襲った。
……あ。空だ。
なんて間抜けなこと思った後から畳み掛けるように襲う激痛。
…な………んだ……ろ…………
………暗転。
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