桃園の誓い‐劉備玄徳

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「わははは。これは手厳しい」 劉備は関羽なら自分の本心を話してもいいと思った。 「では、言わせてもらいましょう。わたしの家系は中山親王の血筋です。ですからわたしは皇族の出なのです」 「ほぅ、ようやく教えてくれましたな?」 関羽は劉備の本心が聞けそうなので嬉しくなった。 「実はこの剣は雌雄一対の剣と申します。この剣は二本で一本でして、家にもう一本しまってあります。なかなかの逸品でしょう?今となっては唯一の皇族の証の品となってしまいました」 劉備は淋しそうに微笑んだ。やはり劉家が落ちぶれていくのが淋しいのだ。 「劉家のお家の復興、果たしたいですか?」 関羽もだいぶ乗り気になって来ていた。 「有り難い。張飛殿も協力してもらえるだろうか?」 「もちろん。協力させてもらいますぞ」 「ありがとうございます」 劉備は関羽と張飛に深々と頭を下げた。 「では、少しわたしの家で作戦会議でも開きましょうか?」 「いいでしょう」 「おう、行こう」 劉備たち三人は一路、劉備の家へ向かって行った。 楼桑村の劉備の家に三人は歌いながら歩いた。彼らは酒がだいぶ入っているのだ。 「ここです、ここです。ここが我が家です」 「……」 張飛と関羽は劉備が皇族の家柄というので、どんな家に住んでいるのかと思ったが、がっかりした様子だった。 「どうです?驚いたでしょう。人間、落ちぶれていくのは早いもんです。まあ、まあ、家に入って下さい」 「母上、客人を連れて来ましたよ」 「まあ、阿備や。帰って来たんだね?お帰り」  
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