桃園の誓い‐劉備玄徳

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劉備の母は劉備の帰りを喜んで迎えた。 「こちらの御人たちはどなたですか?」 「はい、張飛殿と関羽殿です。二人ともわたしを助けてくれると申してくれました」 「それは、それは有り難い話です。よろしくお願いします」 劉備の母親は深々と頭を下げた。その頭の下げ方は劉備にそっくりだった。 「たいしたものはございませんがゆっくりして行って下さい」 「ではお構いなく」 劉備たち三人は居間に陣取りこれまでのお互いの経歴について話し合った。その間、劉備の母親は三人に酒や肴を振る舞った。 「なかなかの立ち居振る舞い。あなたの母上には品がある。やはりただ者ではないな」 関羽は劉備の母親を観察して言った。 「あははは。関羽殿にはかないませんな」 劉備は母親が褒められてまんざらでもなかった。照れ隠しに酒を一口すすった。 「黄巾賊だ」 「黄巾賊が出たぞ」 三人が酒盛りをしていると外がだんだん慌ただしくなって来た。劉備の住む楼桑村に黄巾賊の一団が現れたのだ。 「むぅ、またしても黄巾賊か?」 「せっかくの酒がまずくなる」 関羽と張飛はうんざりした顔をした。黄巾賊たちに飽き飽きさせらているのだ。 「これは行くしかないだろう」 劉備は素早く剣を握ると部屋を飛び出した。 「俺たちも行くぞ」 「おう」 関羽と張飛も劉備の後に続いた。 劉備は外に飛び出すと黄巾賊の一人を捕まえた。  
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