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黄巾賊の若者を先頭に劉備たち三人が黄巾賊のアジトに入って行くと、三人の姿を見て隠れた人物がいた。
「おい、どこへ行く?」
関羽は笑いながら、アジトの奥へ入って行こうとした男に声をかけた。
「あ、これは、関羽先生。お久しぶりです」
黄巾賊の頭巾をかぶった年齢、二十歳くらいの若者は頭を掻いた。
「馬崚よ、最近顔を見ないと思ったらこんなところにいたのか?」
「お恥ずかしい限りです」
馬崚は関羽に見つかり恥ずかしそうに言った。
「なぜ黄巾賊なんかに?」
「いろいろ諸事情がありまして…」
「まさか、張良に心酔した訳ではあるまい」
「ははは。まさか」
「劉備殿、この男、馬崚はわたしの門下生でした。最近姿が見えないと思っていたらここにいた次第です」
「なるほどそう言うことか」
事態を飲み込めた劉備は納得して言った。
「馬崚、お前が黄巾賊として闘うとしたら、わたしはお前を倒さなければならない」
関羽は馬崚を説得するように言った。
「それならわたしは逃げる。先生を敵に回したくないですから」
馬崚は笑って戦意のないことを示した。
「そうか、それなら良かった。わたしもお前とは闘いたくないからな」
「ここのアジトの首領は誰だ?」
劉備は馬崚に聞いた。首領と言っても責任者クラスか。
「甘洪と言う五十過ぎの農民上がりです」
「なるほど。その甘洪のところまで案内してくれるか?」
「いいですよ」
馬崚は二つ返事で引き受けた。
「こいつはどうする?」
さっきまでこのアジトまで案内させた男について張飛は劉備に尋ねた。
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