桃園の誓い‐劉備玄徳

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「どうもこうもないよ。兄貴が暴れまくったもんだから、もうあそこにはいられなくなってしまったじゃないか?おいらもついて行くよ」 「お前は誰だ?」 張飛が鋭い眼を馬崚がチビと呼んだ黄巾賊に向けた。 「おいらは、夏侯…じゃなかった。甘黄だ。よろしくな」 劉備が甘黄をよく観察すると綺麗な目をしていた。また後ろには薙刀を背負っているのが分かった。 「なあ、馬の兄貴ぃ、頼むよ。おいらも連れて行ってくれよ」 「そうは言っても、俺には何と答えていいか分からんし」 馬崚はそう言うと関羽の方をチラッと見た。 「うむ、悪いヤツじゃなさそうだし、いいんじゃないか?劉備殿の返事次第だな」 関羽は劉備の顔色をうかがった。 「いいさ。仲間は多い方がいい」 劉備は甘黄の澄んだ瞳が気に入ったのだ。こんなに綺麗な目をしているんだから、根は良いヤツに違いないと思ったのだ。 「ありがとう。劉備、おいら何でもやるよ。メシの支度から、劉備の下着の洗濯。何でもやるからさ」 「おい、おい。いきなり呼び捨てはないんじゃないのか?それにな、劉備殿には立派な母さんがいるんだから、お前の世話なんていらんよ」 張飛は意地悪そうな眼を甘黄に向けて言った。 「張飛って嫌なヤツ。劉備と関羽と兄貴はいいって言ってくれてるのに」 甘黄はふてくされ気味に言った。 「おい、おい。俺はお前のために言ってるんだぞ。そんなチビじゃ、すぐにやられてしまうぞ」 「何だって?もう一回言ってみろ」 甘黄は張飛にチビと言われたのが面白くなかったのだ。  
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