桃園の誓い‐劉備玄徳

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「チビだからチビと言ったんだ」 張飛は甘黄をばかにして言った。おまけに右手を自分の顔のそばに持ってきて指を開いたり閉じたりした。 「もう我慢ならんわ。えぃっ」 甘黄は居合い抜きの要領で素早く薙刀を一太刀、張飛に浴びせた。 「うわっ。な、何をする」 張飛の着物を甘黄が斬りつけたため、着物が脱げて張飛の下着が露わになった。 「へへへ、何て様だよ。張飛君」 「もう許さん。この野郎」 張飛は恥をかかされて怒り、自慢の蛇矛を振り上げた。 「翼徳、止めとけ。お前が悪い」 「関兄ぃ、俺の着物をこいつは斬りやがったんだぞ」 「翼徳、止めとけ。誰が見たってお前が悪い」 関羽に諫められたが納得がいかない張飛だった。 「なかなかやるじゃないか?よろしく頼むな」 関羽は笑いながら甘黄に言った。 「関羽、こっちこそ頼むな」 甘黄もにこにこ笑って言った。 「何ぃ~、関兄ぃにまでため口とは、生意気なヤツ」 張飛は甘黄に今にも飛びかかりそうな勢いである。 「まあ、何かあったら翼徳が甘黄を守ってやれ」 「絶対やだ」 張飛はそっぽを向いて言った。劉備たちは張飛と甘黄のやり取りを楽しそうに眺めていた。 劉備の家に着くと五人は劉備の母親の作ったご飯をたらふく食べて寝てしまった。 次の日の朝、劉備が起きると関羽と張飛は既に起きていた。 「やあ、朝起きるのが早いなぁ、二人とも」 「なあに、新鮮な空気を吸いたくなったのさ」 張飛は笑って言った。既に日はだいぶ昇っていた。 「何かいい香りがしないか?」  
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