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「もちろん、抜かりはないさ。ただ、もう少しいろいろとやりたいことがあってな。旗揚げは後になりそうだ」
曹操は夏侯惇にニヤリと笑って見せた。
「そうか?分かった。俺たちはお前が行動を起こす時を待っているぞ」
夏侯惇と夏侯淵の二人は曹操の旗揚げを待ち望んでいた。曹操の能力を高く評価しているのだ。
「阿萬、明日は久しぶりに汗を流そう。お前の剣の腕前が許昌の町で、どのくらい落ちているか見てやろう」
もう一人の従兄弟の夏侯淵が白い歯を見せて笑って言った。
「のぞむところだ、妙才。俺様の腕前の上達に度胆を抜くなよ」
曹操は夏侯淵に人差し指を立てて言い返した。
次の日、三人は連れ立って裏山に行った。もちろん誰の腕が一番かを確かめるためだ。
夏侯淵が槍で曹操を突いた。曹操は間一髪のところで槍をかわした。突いり引いたり二人の小競り合いは二十数回に及んだ。
「なかなかやるな。これならどうだ」
今度は曹操が剣を繰り出した。右に左に剣を突き出す。
「どうした?苦しそうだな。妙才の腕前はこんなもんじゃないだろう」
曹操は笑いながら剣を突いた。と言っても曹操には余裕がある訳ではなかった。二人の実力は伯仲しているからだ。
「何だと?俺はまだまだ本気じゃないぞ」
夏侯淵が今度は槍で曹操に突いた。槍は長いので曹操の剣だと間合いが合わない。
「やあっ」
夏侯淵が繰り出した槍の上に曹操が乗った。曹操は反動をつけて槍の上で前転しながら、夏侯淵の懐に飛び込んだ。
「その首もらったぞ」
曹操は不適な笑いを浮かべて夏侯淵の首に短刀を突き付けた。
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