泥酔「想いに浮かべ、酒の船」

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  妖夢 「……公真。あなた釣り得意なの?」 公真 「ん? あぁ、幻想郷に来るまでは川でよく釣りをしたもんだ」 妖夢 「幻想郷に来るまでって……外来人?」 公真 「あぁ、今は元の世界に帰れる時を神社で待ってるのさ」 妖夢 「へぇ、外来人で冥界に来る人間もそうは居ないでしょうね」 ……ちょっと待て、冥界? 公真 「なぁ妖夢、さっきも引っ掛かったんだが、お前が俺に斬りかかったのって何処だ……?」 妖夢 「え、あの時は腹部を狙ったつもりだけど……」 公真 「そんな生々しいことは訊いてない。あの場所はなんだったんだ?」 妖夢 「冥界の白玉楼よ」 白玉楼……何年か前に本で読んだ覚えがある。 ……たしか死んだ人の魂が行く場所だったっけ。 公真 「……念の為に訊いておこう。冥界ってどんな場所だ?」 妖夢 「簡単に言えば死後の世界?」 公真 「……なぁ、俺死んでないよな?」 妖夢 「安心して。生きてるから」 生きた心地しねぇ…… 公真 「……まぁなんだ。冥界で暮らしてるって事は、妖夢はもう死んでるのか?」 本人目の前にして『もう死んでるのか?』とか日常じゃ考えられん会話だな。 妖夢 「む、私だって半分は生きてるわよ」 公真 「じゃ半分は御臨終か、南無南無……」 妖夢 「……ほら、これが私の半霊よ」 半霊って……漫画の吹き出しみたいなこれか? 公真 「へぇ、若干冷たいのな」 妖夢 「そりゃあ幽霊だもの」 ……にしても、半分生きてて半分死んでるなんて難儀な身体だな。  
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