泥酔「想いに浮かべ、酒の船」

8/27
前へ
/561ページ
次へ
  公真 「……なぁ妖夢」 妖夢 「なに?」 公真 「………………」 ――いいか妖夢、これは俺が外の世界に居た時の話だ…… 俺は当時、いろいろ事情があって近所の河川敷に小屋を建てて生活していたんだ。 そんな生活にも慣れてきたある日、友人が俺にこんな話をしたんだ。 「なぁ公真、お前が住んでる河川敷の川あるだろ? あの川って……雨が降るとすげぇもんが釣れるんだってさ」 俺はそんな話には興味は無かった。 ……だが、その三日後に突然雨が振り出したんだ。 俺は友人から聞いた話を思い出し、雨降りの中……ただなんとなく釣糸を川に垂れたんだ。 ……しばらくして、とても大きな当たりが来た。 これは大きい、友人の話は本当だったのか。 俺は無我夢中で釣竿を引き上げた。 ……釣れた『獲物』を見て、俺は驚嘆した。 その『獲物』は、皮や肉が剥がれ落ちた人の形をしていて、あの友人と同じ服を着てい…… 妖夢 「や……止めて!」 公真 「止めてって……まだ全体の二割しか話してないぞ」 妖夢 「二割でだいたいオチはついてるわよ……その怪談」 公真 「えー、全部話すとあと六人は死ぬんだけどな……」 妖夢 「死に過ぎよ!」 公真 「なに、お前怪談とか嫌い?」 妖夢 「……確かに苦手だけど」 公真 「ふ……ははは……」 妖夢 「……なに笑ってるのよ」 公真 「いや、半分幽霊のくせに怪談怖がるお前が可笑しくってさ……」 妖夢 「な……っ!」 笑われたのが恥ずかしかったのか、妖夢の顔は若干赤くなっていた。  
/561ページ

最初のコメントを投稿しよう!

261人が本棚に入れています
本棚に追加