見上げた星空~純白の少女~

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空を見上げる。 そこにあるのは、満開の星空。 そして見慣れた夜空。 時間により、季節によりその顔を変えていく輝きは、いつになってもその美しさは色あせることはない。 都会の方に行くとまともに星を見ることが出来ないらしいので、そこら辺は田舎生まれなのを感謝しなくもない。 適度に生活しやすく、適度に田舎なこの町。 春が来て、そして短い春休みが終わり、高校二年目になる新学期が始まった今日。 俺、月村晶(つきむらあきら)は学校からの帰り道を歩いていた。 時刻は7時。 春の夜、この時間帯は十分暗い。 部活はしていないが、生徒会に所属しているため帰りは遅くなる。 別に立候補した訳ではない。 選挙も何も行われず、いつの間にか生徒会に所属していた。 しかもよりによって生徒会・副会長。 数少ない男子生徒が、生徒会に属する事は珍しい……………というか、初めての事なので、待遇が良いらしい。 実は、俺の通っている学校は極端に男子生徒の数が少ない。 全校生徒で5人しかいないという、すさまじい数字を誇っている。 それというのも、学校はいわゆる元・有名女子校。 かれこれ一年前。 俺が入学した時、女の園だった学校が理事長の代替わりを期に共学化をはじめたのだ。 ここら辺ではレベルが高く、有名な進学校なので入学したのだが、まさか男子生徒が3人しか受験しないとは思わなかった。 今年は男子生徒の入学は2人。 これで計五名。 考えてみれば勉強のレベルは高いし、共学化にしても女子校なので一般人………特に男にとっては居心地が悪い学校なのは事実だろう。 普通に生け花とか茶道とかの授業があるからなぁ。 五人しかいない男子生徒なので、嫌でも目立ってしまうし、全校生徒の中で俺の身長が一番高いからなぁ。 しかも、元・男子禁制名門女子校の名は伊達ではなく、優秀なのだが職員室まで女性しかいない。 天国! という人もいるだろうが、実際はそんなに良いものではない。 一日中、どこに行っても奇異な視線を受けなければならないのだ。 それは居心地の悪いの何の。 とんでもない学校に入学してしまったと思ったものだが、入学して一年、何とか学校生活は続けられている。
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