少女の見栄~流れぬ涙~

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ボリボリ。 パクパク。 ゴックン。 晶「………まぁまぁだな」 夕方を過ぎ、これから夜と言われる時間帯に入る頃。 いつもの公園。 いつものベンチ。 いつもの星空の下。 俺はクッキーを食べていた。 買ってきた訳ではない、学校の授業………調理実習で作ったものだ。 といっても俺が作った訳ではない。 俺が作ったクッキーは、気づけば全てクラスメイトに食われて無くなっていた。 まぁそれだけ美味いという事だろうから、悪い気はしないが。 で、俺が食べているこれは、俺の幼馴染が作った物。 ちなみに女だ。 双子の妹だ。 そしてその兄は俺の親友だ。 よくある話。 問題ない。 味は…………まぁ普通だろう。 可も無く、不可も無い。 ………………。 それにしても、昨日のあれは一体なんだったのか。 赤い空、黒い少女。 残り四日、そして答え………。 あれは夢だったのか………それとも現実だったのか。 それすらも解らない。 もしあれが夢だったのなら、これ以上悩みはしないだろう、すぐに忘れる。 しかし、あれが現実だったら。 あの真紅の夜、漆黒の少女が警告した残り四日。 今日を入れて残り三日。 三日後、一体何が起こるのか? それは俺に関係することなのか? ならば俺は一体何をするべきなのか? 少女は俺の答えを聞かせてくれと言った。 その答えとは、一体何に対しての答えなのか? ……………解らない。 解っているのは、嘘にしろ真にしろ、三日後が全てだということ。 まったく、嫌いなんだよな、ただ待ってるだけってのは………。 空を見上げる。 そこには赤い空は無い。 あるのは暗く、深い青。 ふぅ…………と、ため息が出る。 ――――キンッ――― 晶「―――っ」 ズキリと、頭痛が走る。 しかし、それも一瞬の事、何事もなかった様にその痛みは消えてしまう。 晶「――ったく、本当になんなんだ?」 病院にでも行くか………。 といっても、自分の姉が医者なのだから、見てもらえばいいだけの話なんだが。 声「―――こんばんは、晶」 晶「ん?」 ポリポリとクッキーを食べていると、最近聞き慣れた声に呼ばれる。 案の定、いつの間にか目の前に命がいた。 相変わらずこの小娘は気配というものが掴めない。 命「あ、クッキー」 命は俺の手の中のそれを見つける。 晶「食べるか?」 すっと、クッキーを差し出す。 命「えっ、いいの?」 晶「あぁ、どうせ貰い物だ」 命「貰い物?」
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