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第一章 広原放浪人
世界は枯れた土地を追放する定めに従われた。誰が言ったか判らない。それでも人は生きねばならなかった。
枯れた土地から放浪生活してきた二人の親子が、食糧と水を求めて聚落へと足を向けていた。
聚落の名はトスバロ。人口はざっと109人ほどである。
訪れてきた親子は休憩所で疲れた身体を癒やしていた。座した親は安心したのかそのままの態勢で眠ってしまった。
「お客様、ここではご就寝なさらぬように……ハッ!」
休憩所の使いは肌を触れるなり目を丸くした。
「お亡くなりなられた……どうすれば!?」
まだ齢が三つくらいの児童もいるというのに、その父親は疲労によって自分が短命だと判断してか、我が子を聚落土地に残してしまった。
児童は、自分の名をナエガと申し上げて成人になるまでの間を期限に名誉聚落民になったのであった。
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