第一章・―出逢い―

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 ――俺は、幼い頃から厳しかった父親の背中を見て育った。厳格で、曲がった事が嫌いで、正義感の塊のような父親が、俺は大好きだった。  仕事仕事で、留守勝ちな父親だったが、そんな事も気にならないくらいに、俺は彼を尊敬していたから。  いつか必ず、父親と同じ職業、刑事になろうと心に決めていた。父親のように、自分の世話は疎かにしても、いつも周りに目を配り、平和を、法を、人間を護って生きたい。  俺はずっと、……ずっとそう思って、その目標に向かってがむしゃらに突き進んでいた。  かつての俺は、確かにそんな人間だったんだ――。
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