第一章・―出逢い―

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 ある日の事、前日まで詰めていた張り込みが功を奏し、無事とある事件を解決出来たので、珍しく早く家に帰れたのだ。  だが、いつもならば明かりが灯っている家の窓は暗く、違和感を覚えて慎重に歩を進めた。  なるべく音をたてず、ゆっくりとドアノブを回す。  本来ならば鍵がかかっているため、簡単には開かない筈、なのだが――。  呆気なくドアが開いた。鍵がかかっていない。中へ入ると、敢えて靴も脱がず、そのまま入った先にある、リビングへ続くドア横に、壁に背をつけぴったりと張り付いた。  慎重に、慎重に。家には家族がいる。もしまだ生きているなら、犯人が潜んだままかも知れない場で下手に刺激するのは危険過ぎる。
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