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京夜は華奈と別れ、神社に着いた。
京夜の家は、神月神社というところにある。
そこは少し町の中心から外れたところに建つ普通の神社の建物である。
しかし、少し変わったところがあり、150段もある長い石段を上らなければ御社(おやしろ)を拝めないのだ。
その石段を得に疲れる様子もなく昇りきった京夜は鳥井をくぐると、そこは開けた場所になり、石畳が真っすぐに敷かれ、その先には御社(おやしろ)が建っている。
そんな場所に一人、ホウキで掃除をしている笑顔が似合いそうな優しい顔をした、少し老けている男がいた。
その男は京夜に気付き話しかけて来る。
「京夜くん、おかえり」
「・・・・」
優しい声色で話し掛けてきたその男は京夜の父であり、神主の神月 信吾【かみづき しんご】という。
人柄がよく、近所の住民からも優しい人と評判がある。
しかし、京夜からは敵視され、何年も口を聞いていない。
だから当然無視して本堂の裏にある母屋に向かうのであった。
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