†恋の鐘。

11/17
前へ
/116ページ
次へ
――――ガチャンッ 「えっ…」 鍵がかかった音に驚き、後ろを振り返ると本を読んでいたはずの豊が立っていた。 その瞬間、ふわりと体が浮いた。 無言無表情の豊にあたしは抱き上げられ、ベッドに寝かせられた。 豊は、あたしに覆い被さるようにして、見つめる。 息がかかるぐらい、顔が近い。 「…今日の遥、何か変だよ」 そういって、抱き締められた。 あたしは何も答えられなかった。 顔が見れない。 でも、顔が見えたって豊は無表情だろう。 腕の力が強くなり、あたしは軽く酸欠状態。 豊の胸板をどんなに強く押しても、彼には通用しない。 明らかに豊の方が変だと思った。   
/116ページ

最初のコメントを投稿しよう!

87人が本棚に入れています
本棚に追加