†恋の鐘。

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  ギターを肩にかけ、急いで部室を出た。 学校の近くの公園に行き、携帯の電話帳の"ゆ"の部分を開いて、通話ボタンを強く押した。 『…もしもし』 低い声を聞いた瞬間、涙腺が緩んだ。 『…遥?』 電話越しで淡々と喋る豊。 豊はあたしの彼氏。 もう付き合って3年。 ベタベタな恋愛は大嫌いで、いつも冷静で、意外にモテて。 そんな豊はあたしにも冷たい。 付き合って、3年だよ? 普通はもっとラブラブなんじゃないの? 彼女への態度が、周りと同じってどうなの? 「…あの…」 今喋ったら涙が溢れそう。 でも、我慢しなきゃ…涙腺が崩壊したら、また豊に嫌な顔されるから。     あたしは、必死に制服の裾を握りしめる。
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