†恋の鐘。

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  でも、今回は少し違う。 「ゆ…豊っ」 あたしの言葉に豊は立ち止まる。 不思議そうに見つめる豊は、しばらくして口を開けた。 「どうしたの? いつもは何も言わないのに」 豊の言葉は嘘じゃなかった。 豊に対して、反抗も甘えも、何もしなかったあたしがいきなりいつもとは違う 態度を見せたのだから。 びっくりさせたよね。 嫌われてないかな… あたしって、本当に嫌な女。 前はこんなに、豊の顔色伺ってなかったのに。 いつしか、何をするにも、何を言うにも、豊の顔色ばかり伺うようになってた。 あたしは小さく"ごめんなさい"と言った。 それに対して豊は、表情を変えずにまるで何ごともなかったかのように、歩き出した。 豊の家は学校から近い。 電車で通っているあたしは豊と一緒に登校したことがない。 豊は《朝は嫌だ》とストレートに言ったのだ。 さすがにその言葉はあたしにはきつかった。 あたしは豊に連れられて家の中に入った。 「おじゃまします」 「…今日親いない」 豊は淡々と喋り、二階へ上がっていった。 あたしも豊の後を追うようにして、二階へ上がった。    
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