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人魚の石像は、あたしを振り向くと、涙が潤む瞳で見つめた。
「セナ、あなたを、お待ちになっていらっしゃるわ。」
信じられない光景に、あたしの頭はパニックになった。
─ こんなの有り得ない‥
とても怖くなって、あたしは泣きそうだった。
ママ達のところに戻ろう。
そう思った途端‥
「痛ッッ!!」
両足に激痛が走り、ピリピリとした痛みが全身に伝わった。
なにがなんだかワケが分からなくて、あたしは、やっぱり泣きそうだった。
── 星那‥
人魚の石像とは違う、さっきの不思議な声が聞こえる。
辺りを見回すあたしの瞳に、黄色のハイビスカスの花が揺れた。
あたしは、まだズキズキ痛む自分の足を見た。
─ えーッ?!
ま、ぢ、で、す、か?
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