Ⅰ 星那の夢

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  その後、あたし達は、パパの運転で元来た道をホテルに戻った。 那覇空港から、一時間あまりのリゾート地に着く頃には、淡いピンクがかったオレンジ色の夕日が、海に沈み掛けていた。 「陽、見て。夕日、めッちゃ綺麗♪」 助手席に座ったママが、窓の外を見てパパに話し掛ける。 「うん。綺麗だね。だけど、ルナには敵わないよ。」 パパは、そう言うと、ハンドルから片手を離し、ママの手を握った。 相変わらずlove②モード全開の二人に ─ あ~ァ、また始まった‥ ナンテ思うんだけど、あたしは、そんなパパとママを見ているのがすきなんだ。 「オレがなんでキレイやねーん。オレはオトコやねんぞ!」 勘違いした夕陽が、プーっと膨れっ面になる。 「ちょっと前まで女の子になりたいって言ってたの誰だっけ?」 パパとママは、楽しそうに顔を見合わせて笑った。  
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