例えばの話

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しないのに。 例えば、屋上で。 「レイコってどんな子だったっけ?」 巨乳だったっけ?メンチカツパンを頬張る加持に聞かれ、佐賀はふと数年前のことを思いだす。 マリちゃんとは付き合ったっけか、ああ紹介して失敗しただけだった。 それじゃあその前の娘だから… 「巨乳だったな、確か走るとすげぇ揺れてた」 佐賀は思いだしたようだ。 童顔、まあ中学生だから歳相応なのだが体が逆に発達していた。 「ふうん、加持さんて、デカイの好きなんすか?ぼよんぼよんしたの?」 香椎も興味を示したようだったが、もっと示したのは青木だ。 ただ何も聞きはしないが耳は完全に加持の声を拾うスタンバイはOKだ。 「だったかなあ、そんな趣味はなかったと思うけどよ、つか顔が思いだせねぇ」 「ふうん、青木さんて胸でかいんすか?」 聞いたような質問だ。次を言ったら香椎を殺してもいい、と加持は思った。 「でかくねぇよ、」 「…じゃあ、キョ…」 香椎はどうやら察したようだ。 少しだけ今日は頭が冴えているらしい。 「じゃあ、乳でかくなくて残念すね、あ。ポン太なら揉めそうっすよ、」 「…別にオレ、ホモじゃねぇし。他のキョニュウの男に興味ねぇよ…それに青木なら別に乳なくてもいーし」 「ふうん、何かそれって惚気?」 「あ?意味わかんねぇよ。青木ならいいって話じゃねぇか」 何が惚気なんだと。 大胆なんだか、何なんだか。 好きなんて言葉は口にしないけれど。 青木はらしくもなく頬が熱くなるから、知らない振りをしてフェンスの向こうに視線を逸らした。 例えば、これが言わなくても加持が青木を好きだという話。
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