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第九話:譲れない気持ち:
間もなくして、空の試合が開始された
守備につく空、ポジションはセンターだ
しかし、空には守備より気になる事があった
それの影響により集中力が大幅に削がれる
何がそんなに気になるのか…
空がちらちらと
見ている目線の先を
見てみると、そこには秀一がいた
「秀一………。」
気持ちを押し殺した筈だったのに…
目線は秀一から離れない
ここで空は…自分を諦めた
諦めようとしている自分を
もう考えないようにしている自分を
秀一が好きで好きでたまらない自分を
そして…空は決断する
「うん…やっぱり私、あなたのこと…
天川秀一のことが誰よりも大好き。
だから私、佐伯空は諦めない!
絶対いつか振り向かせてやるんだから!!」
雲一つない天を仰ぐ空
その顔には一点の曇りもなかった…
その時だ、空には太陽が2つ見えた
「太陽が2つ…?ていうか白…ボール!?」
そう、バッターからの打球だった!
直線上のセカンドを守る美佳子の声が響く
「空ー!!バックバックー!!」
頭上を通り過ぎていく打球
空は全力で走り出した
全力で走るも後一歩届かない空
「(私には今…何ができる…?
アプローチ…?ガンガンアタック…?
違うよね!振り向いてもらうためには…
こういう小さなことから始めなきゃ!!)」
「あれはさすがに空でも取れないかな…。」
ボールが抜けるのを諦め、センターからの
中継に入り空からのボールを待つ美佳子
しかし、美佳子は驚いた!
空が…飛んでいる!!
「お願い!入って!!」
ダイビングキャッチを敢行する空!
そして…地面に落ちる空
ボールの行方は……!?
その瞬間、空のグローブが
天高く空に突き上げられた
グローブの中にはボールが入っている!!
『わぁぁああ!』と歓声が上がる
「やったぁ!!美佳子ぉ!いえーい!!」
ニコニコと笑い美佳子にピースする空
「まったく無茶するんだから…ふふっ…。」
本当に元気になった空に美佳子も喜ぶ
しかし…立ち上がると空は驚いた
「あ、あれ…?」
膝、肘の辺りから血が流れる
半袖、及び半ズボンでダイビングを敢行
したため膝や肘に怪我をしていた
怪我をした部分にかなりの痛みが走る空
だが、試合は続行されている
空は仕方なく試合終了後に
処置をしようと考えた
しかし…痛みで身体を動かせない空は
ライト、レフトのサポートにも入れない
その時、空の異変に気づいた“誰か”が
主審に声をかけ試合を中断させる
そして、空はそのまま
保健室へと連れていかれた…
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