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第十一話:馬鹿:
二人のチームの試合が終わり、二人は
他のクラスメートの試合の応援に向かう
「ねぇ美佳子!どこ応援行こっか?」
空の質問とは裏腹に
美佳子は空が心配でならない
「空、痛くない?大丈夫?無理しないでね?」
空はクスッと笑うと美佳子の質問に答える
「もうっ美佳子ってば、私は大丈夫!
少しは痛いけどこれぐらい平気だよ!!」
空がそう言うと美佳子は凄く安心した
「よかった…。あ、誰の所行こうか…
じゃあ梨華と瑠華のところ行こうか?」
[夢野梨華]と[夢野瑠華]
この二人は双子の姉妹(梨華が姉、瑠華が妹)
であり空と美佳子のクラスメート
空と美佳子とは仲のいい友人である
「りっちゃんとるーちゃんのところか!
いいね!行こーう!」
りっちゃん、るーちゃんとは空が付けた
梨華と瑠華のあだ名である
そして、バレーボールに出場している
梨華と瑠華がいる体育館に向かう二人
しかし、後ろからそこにある人物が現れた
「おい…佐伯…。」
後ろから急に声をかけられ驚く
「ひゃっ!!(こ、この声は…。)」
声の主が一瞬で分かった空
空はすぐに振り返る
「秀一…ど、どうしたの?」
そう、現れたのは秀一だった
苛立った表情の秀一
すぐに口を開いた
「どうしたもこうしたもあるか!馬鹿そ
(やべっ!じゃなくて…。)…佐伯!!
そんな怪我して…ただの学校行事だぞ!!
だいたいジャージも着ずに半袖半ズボンで
ダイビングとか無茶にも程がある!
怪我して当然だ!なに考えてんだよ!?」
秀一の怒りに驚く空と美佳子
「ご、ごめん…でも、ただの学校行事でも
私には大切なことだったから…。」
幸せそうに微笑む空に秀一は言う
「まったく、無茶すんなよな…。とにかく、
早くその怪我治せよ?つーかちゃんと
消毒したか?バイ菌入ったら大変だぞ…。
それから、この大会は不参加で
見学だけにしておけ。治らないぞ。」
次々と様々なことを言われた空は
驚きのあまり小さく頷くしかなかった
「あ…うん。大丈夫…ありがとう…。」
空がそう言うと、後ろから叫び声が聞こえた
「天川先輩!!」「秀一!!」
どうやら秀一の後輩と先輩らしい
秀一は焦って空に言う
「あぁ、気にすんな。じゃあもう行くけど
気をつけろな、“空”」
そう言うと、秀一は
後輩達の下へと走って行ってしまった…
未だ呆然とする空
徐々に顔が赤くなる
「今…私のこと空って…。」
顔を真っ赤に幸せそうな空
「うん!やったじゃない空!
(彼、もしかすると…空のこと…?)」
そして二人は…
様々な思いを胸に体育館へと向かう
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