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瑠華は梨華に駆け寄る
「見つけた…梨華姉ぇ…。」
その声を聞き、静かに顔を上げる梨華
「瑠華…どうしてここが分かったの…?」
梨華の目は涙でいっぱいだった
「えっとね?空に教えてもらったんだぁ!」
えへへと笑う瑠華に梨華も小さく笑う
「ねぇ瑠華…私のせいで
試合に負けちゃってごめんね…?」
罪悪感でいっぱいの梨華は瑠華に謝る
しかし、瑠華はまた笑った
「あはは、梨華姉ぇのせいじゃないよ!
最初の方からいっぱい点差ついてたもん!
だから、泣かないで…?梨華姉ぇが泣いてるとね?私も悲しくなっちゃうんだよぉ…。」
梨華の隣に座り一緒に泣き始める瑠華
「ふぇぇぇえん…ふぇぇえん…。」
瑠華と抱き合い一緒に泣く梨華
「もう…なんで瑠華が泣いてんの……。」
梨華のその言葉に答える瑠華
「だって…私の大好きな梨華姉ぇが泣いてるんだもん…。一人で苦しんでるんだもん…。
だからもう一人で泣かないで…?
泣くときは私も一緒に泣かせてよ…。
私にも梨華姉ぇの苦しみを分けてね…。」
自分のために泣く瑠華に梨華は笑う
「ありがとう…瑠華…。
私も瑠華が大好きだよ。
私ももう一人で泣かないから…瑠華も一人で泣かないでね…。私にも瑠華の苦しみを分けてね…。ずっと大好きだよ瑠華…。」
さらに強く抱き合う梨華と瑠華
そして二人は離れ
桜の木の下で
仲良く手を繋いだ
それを影から見ている二人は笑った
そして美佳子から質問が投げ掛けられる
「ねぇ空?なんで空は梨華が
ここにいるって分かったの…?」
少し考え質問に答える空
「…去年の話なんだけどね…りっちゃんと
校庭で一緒にシャボン玉で遊んでたの。
その時、突然りっちゃんがシャボン玉を
追いかけて行っちゃって…私もすぐに
追いかけたら、りっちゃんがこの桜の木を
見て立ち止まってたんだ…そして、言ったの
“空…この桜の木…かわいそうだよ…。
みんなと仲間外れにされてこんなところで
ずっと一人ぼっちだなんて…寂しいよ…
悲しいよ…でも、この木はおっきいね…
この桜…きっと強い子なんだね!!
でも、きっと一人ぼっちは寂しいから…
私が時々君に会いにくるから安心してね!
君は話せないけど…ずっと傍にいるよ…。
だから、私が辛い時や苦しい時は
私の話を聞いてくれる…?
あはは、返事なんてする訳ないか…。
その時…無風だった風が突然吹き
ザザァァ…と葉が揺れ動き
[ありがとう、もちろん聞くよ]って
返事したように聞こえた…。”
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