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雲一つない青空の下
とある高校の昼休みの教室では一騒動起こっていた
「いい加減にしろ!!」
「いい加減にするのは
あんたでしょ!?」
凄い剣幕で睨み合う二人
天川秀一と佐伯空だ
クラスに緊張が走ると思いきや
クラスにいたって変わりはない
それどころか、クラスメートは
「またか。」という感じで
二人を見ている
どうやらいつものことらしい…
しかし、そこに二人に
二人の仲裁が入る
「はい、いい加減にするのは
君だ秀一君。」
「そうよ。あなたも
いい加減にしなさい空。」
仲裁に入ったのは、秀一の
親友である宮西明義と
空の親友である橘美佳子だった
明義はそのまま
秀一の首根っこを掴む
「じゃあ行こうか秀一君。」
ニコッと笑う明義
「痛い、痛いなー…。」
「いいからいいから。
ほら、行くよ。」
明義は秀一の首を
掴んだまま立ち去った
教室に残された空と美佳子
空は俯いている
「空、大丈夫…?」
空を気にかける美佳子
美佳子が顔を覗き込むと、
空は涙ぐんでいた
「空…。大丈夫だから、ね…?
元気出して?」
必死になだめる美佳子
しかし、空の目から
大粒の涙がこぼれる
空は涙がこぼれた瞬間、
教室を飛び出した
「あ、空!待って!!」
後を追う美佳子
空は階段をひたすら駈け上がり
屋上へと辿り着いた
「はぁ…はぁ…う゛う゛…。」
涙がボロボロとこぼれる
美佳子は空を腕を掴む
「はぁ、はぁ、はぁ、
空…大…丈夫…?」
息切れで上手く話せない美佳子
空は何も言わず
美佳子に抱きついた
「うわぁああん…うわぁあん…。」
思い切り泣きじゃくる空
美佳子は空を抱きしめた
「好きなのにぃ…。
大好きなのにぃ…!!
なんでいつもいつも
こうなっちゃうの…?」
涙が止まらない空
「大丈夫だから…まったく…
素直じゃないんだから空は…。
これから頑張ろうよ、ね、空。」
「う゛ん゛…。」
二人は、この後教室に戻り
残りの授業を普通に受けた
泣いて真っ赤に腫れた目は
蜂に刺されたと
誤魔化したという…
ーこうしてこの物語は
始まっていくー
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