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第五話:誤解:
秀一が空に詰め寄る
「な、何も企んでなんかいないよ…。」
下を向き、今にも崩れ落ちそうな空
今までの自分の行動を後悔していた
「へぇ…ま、別に何でもいいけどね…。とりあえずこれ以上俺に引っ付くの止めてくれ。
部活も覗いてたみたいだし…感謝はしてるけどさ。正直最近のお前、急に変になって怖い。何かあったのか?話ぐらいなら聞くぞ。」
そう言われ、頭が真っ白になる空
「はは…そうだよね。そうだ。そうだよ…。」
何も…言葉が見つからない
「えっと…何かあったとかじゃないんだ…。
うん、別に何も理由はない
ごめんね?も、もう…近づかないから…。
もう二度と…“天川君”には近づかないから…。今まで…迷惑かけてごめんね…。」
空は、そう言うと教室から飛び出した
「あっおい空!!」
止めようとするも、秀一は空を追わない
自然と涙が溢れ落ちる空
向かった先は屋上
空が屋上に出ると、今日は曇り空だった
雨が今にも降り出しそうな空だ
「…う゛う゛……………。」
フェンスに掴まり必死に泣かまいとする空
しかし、涙がどんどん滴り落ちる
空は地面にペタッと座り
フェンスに掴まりながら静かに泣いた
「うわぁあん…グスッヒクッ…うわぁあん…。」
空は薄々分かっていた
こうなってしまう可能性があることは
十分に予想し、理解できていた
その分、予想が的中してしまった
苦しみが空を襲う
どのくらいの時間が経っただろうか
校内のチャイムが二回鳴った
あぁ…一時限目は終わってしまったか
どうしたらいいか分からない
どうすればいいか分からない
空はもう何もできる気がしなかった
ポツ…ポツ…
雨が降り出す
ザァァァ…と雨が降りしきる中
空はまだそこにいた
その時、空の後ろに何者かが現れる
「…………………。」
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