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第七話:強がり:
翌日、空はいつも通りに学校へ登校した
「さてと…今日も気合い入れて行こう!」
ニコッと笑いテンションを上げる空
「……だよな!」「あー…そうかもなぁ…。」
教室内に廊下からの聞き慣れた声が響く
秀一が友人と共に登校してきたのだ
動揺すると思われた空に…変化はない
昨日秀一とは何事もなかったように…
いや…まるで今までも秀一とは
なんの関わりもなかったかのように…
挨拶も…簡単な会話もなくなり…
目を合わせる事さえも…なくなった
そこに、美佳子が登校してくる
「おはよう空。」
心なしか美佳子の声に元気はない
美佳子が空に声をかけると空が振り返る
「おはよう美佳子!」
元気に振る舞う空
「う、うん…。」
一瞬戸惑う美佳子だったが、美佳子には
すぐに空が無理をしているのが分かった
しかし、美佳子は何も聞かなかった
それが空の決断した道だと思ったから…
しかし、無理してるのが分かっているとは
いえ元気そうな空を見た美佳子は
思わず空に全ての核心を聞いてしまう
「空、秀一君来てるね。今日も挨拶したの?」
ニコニコと言う美佳子に、空も笑って言った
「えっ?誰それ。私、そんな人知らないよ?」
「え……?冗談でしょ何言ってんの空…。」
思いがけない空の一言に驚愕する美佳子
「空…いったいどうしちゃったの…?」
美佳子の必死の問いかけに淡々と答える空
「えっ?どうもしないよ、私はいつも通り!」
美佳子は呆然と立ち尽くしている
「あ、一限目移動だよ。早く行かなきゃ。」
焦ったように動く空だが、時間は十分にある
この日、空は本当に何もなかったように
振る舞いながら真剣に授業を受けていた…
そして、この日のHR(ホームルーム)…
意気揚々と担任が楽しそうに話し出す
「あーお前達ぃぃ!いよいよ明日から!
待ちに待った!!球技大会だぁああ!!」
教員の大きな掛け声に男子も便乗する
『うおぉおぉぉぉ!』
「全員力を出しきれよ!以上だ!
全員気をつけて帰るように!!」
こうしてHRは終わる
この日からの放課後、空が野球部の
見学に行くことはなかった…
そしていよいよ明日!
球技大会スタート!!
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※この学校では、毎年この季節に
年に一度球技大会が行われる
男女に分かれ、バスケットボール、サッカー、バレーボールでトーナメント制で行われる
各自種目の選択は自由である
必ず一種目の参加が規則となっているが
毎年全種目に参加する強者が現れる
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