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「ここだ。」
「え、省吾、此処って…」
そこは小さい頃から省吾と和也が
キャッチボールをしているグランドだった。
「昌也、此処の広さはあの甲子園と大体同じ広さのグランドだ。」
「っしゃー、燃えてきたー!!!」
「キャッチャーは俺がやる。和也マウンドに行け、アップ始めるぞ。」
「う、うん…」
そこから20分程キャッチボールをして
和也はアップが完了した。
(左のオーバースロー…球速は問題ないが省吾の言葉が気になるな…ダイヤモンドの原石か…初球は見送って様子を見るか…)
和也がマウンドを馴らし勝負開始
(左打席か…初対決だし昌也は相当な実力だ…だが初球はそこを逆手に取る。実力者なら初球を見送り様子を見てくる筈だ…和也、初球はど真ん中のストレートだ。)
コクリと頷いた和也には欠片の迷いもなく省吾が構えるミットに投げ込む。
パシーンと乾いた音が響く、和也の放ったボールは一寸の狂いもなくミットに飛び込む。
やはり初球は見てきた、まずはワンストライク。
(これは…なるほどね…こりゃ省吾がでけぇダイヤモンドの原石って言う訳だ。だが…まだまだ霞んだ輝きだ、打てない球じゃない。球速は見た所では約130㎞前後…コントロールは抜群に良さそうだな…問題は変化球か……)
和也はマウンドの上でリラックスしてストレッチをしている。
今日昌也が見た和也とはまるで別人のように堂々とした出で立ちだった。
(案の定見送ってきた。次は内角低めにスライダーだ。ボール球で良い、空振りすれば儲けだ。)
和也は再び省吾のミット目掛けて投げ込む。またもや一寸違わぬ完璧なコントロール。
(少し遅い…変化球か?いけね、体が止まらない…当てないと空振りする。)
カーンとグランドに響いた。
「しまったキレろー!!!!」
打球は叫んだ省吾の思いが通じたのか
フェンス手前で失速しファールゾーンに落ちた。
「変化球だったからちょっとタイミング早かったなぁ…」
「体勢を崩しながら無理矢理あそこまで持って行くなんてお前もスゴいよ。」
「へへ、そりゃどーも」
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