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「んじゃ今日はありがと、また明日な♪」
「おぅ、また明日」
「また明日ね」
そう言いグラウンドを出る。
空を見ればもう日も傾いていた。
和也と省吾とは別の道なので
昌也は家路に着いてから考えにふけっていた。
(最後のストレート球速はたかだか130㎞オーバー…だが伸び上がる…信じがたいが和也のストレートの素質は底が知れない…あれで仮に140㎞だったら三振してたな…俺もまだまだだな…)
一方省吾も考えにふけっていた。
(最後のストレートは今日の和也の最高のボールだった…それを難なく左中間に運ぶなんて…昌也も思っていた以上に相当の実力者だな…)
「ねぇ省吾聞いてる?」
ふいに横から声がした。
小さな少年が彼に話し掛けている。
「悪い、何の話しだっけ?」
「だから部活の事だよ。省吾は野球部に入るの?」
「あぁ勿論だ。将来の夢がプロ野球だからな。和也はどうするんだ?」
「ぼ、僕は多分入らない。また中学の時みたいにイジメられるかも知んないし…」
~中学時代~
「おい和也、お前試合に出れなくて役に立たないから役立ててやるよ俺達レギュラー組のフリーバッティングのピッチャーやってくれよ。勿論、いいよなぁ?」
「う、うん……」
この時まで和也は右投手だった。
あの事件が起こるまでは…
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