後編

2/4
20人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
そんな時、その家のご主人が帰ってきました。ケンに近付いて行きます。 飼い主は初老の男性でケンをじーっと見ています。ケンに少しずつ近付いて行きます。 『叩かれる!!』 そう思ったケンは恐怖に身をすくめました。 だけど振り下ろされた手はけして痛くなく、ケンの頭に優しいおじいちゃんの手の感触がありました。 おじいちゃんはケンを優しく撫でました。 「ミサのお友達になってくれたんだね、ありがとう」 『わぁい、僕誉められたんだ!!嬉しい!!』 ケンは尻尾を振って喜びました。 おじいちゃんはケンの頭に打撲傷があるのを見つけ、妙な違和感を感じました。 (首輪をしている…ということは飼い犬で間違い無いだろう。だけど、この傷痕は…。それに毛並みの色も悪い) もしかしたら飼い主に愛情を注がれていないのかもしれない。 そう思ったおじいちゃんはケンに優しく話しかけました。 「なぁ…ポチ公、今の家が辛かったらずっとここにいてもいいんだよ」 ケンはすごく考えました。僕もこのお家にいたい。そしたらミサちゃんとずっと遊べるし、優しいおじいちゃんのそばは温かそう。 でもー…。「ワン!ワン!」 ケンは言いました。 『そういう訳にはいかないよ。だって僕のご主人様は1人だけだもん』
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!