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そんな時、その家のご主人が帰ってきました。ケンに近付いて行きます。
飼い主は初老の男性でケンをじーっと見ています。ケンに少しずつ近付いて行きます。
『叩かれる!!』
そう思ったケンは恐怖に身をすくめました。
だけど振り下ろされた手はけして痛くなく、ケンの頭に優しいおじいちゃんの手の感触がありました。
おじいちゃんはケンを優しく撫でました。
「ミサのお友達になってくれたんだね、ありがとう」
『わぁい、僕誉められたんだ!!嬉しい!!』
ケンは尻尾を振って喜びました。
おじいちゃんはケンの頭に打撲傷があるのを見つけ、妙な違和感を感じました。
(首輪をしている…ということは飼い犬で間違い無いだろう。だけど、この傷痕は…。それに毛並みの色も悪い)
もしかしたら飼い主に愛情を注がれていないのかもしれない。
そう思ったおじいちゃんはケンに優しく話しかけました。
「なぁ…ポチ公、今の家が辛かったらずっとここにいてもいいんだよ」
ケンはすごく考えました。僕もこのお家にいたい。そしたらミサちゃんとずっと遊べるし、優しいおじいちゃんのそばは温かそう。
でもー…。「ワン!ワン!」
ケンは言いました。
『そういう訳にはいかないよ。だって僕のご主人様は1人だけだもん』
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