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「クゥーン…クーン…」
おぼつかない足取りでケンはたった一度だけ、優しくしてくれたおじいちゃんの所に向かっていました。
『おなかすいたよぅ…お水飲みたいよぅ…』
夏の暑さが、残り少ないケンの体力を奪っていきます。
ついにケンはその場で息絶えてしまいました。
おじいちゃんが近くのコンビニから帰ってくると見覚えのある犬が門の前で横たわっていました。
ミサが門をひづめでガリガリしながら悲しそうな鳴き声をあげています。
「キューン…キューン…」
「愛されたかったなぁ…」
そう呟くとおじいちゃんはそっとケンを抱き上げ、門の鍵を開けました。
―END―
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