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そのままうずくまった梓良が保護されたのはそれから、約1時間後。
梓良と同じように街から帰ってきた村人によってだった。
すぐに街から人が呼ばれ、生存者の捜索が始まった。
しかし結果は明らかだった。
潰れ、焼けて原型をとどめていない民家。
焦土となった田畑。
――生存者0。
そしてそれは街の教会に連れてこられていた梓良にも伝えられた。
村は妖魔におそわれたらしい。焼けていることから炎の属性を持った妖魔ではないか、ということだった。
梓良はその情報をもってきた男に、小さく「はい」とだけ応えた。
泣けなかった。
自分が悲しいのかどうかも判らず、ただ空虚な何かを感じていた。
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