さくら道

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―10年後 さぁぁぁ… 柔らかい風がふく。 木々の葉が一斉に揺れ、小鳥達が飛び立つ。そんな風景を見て、青年がつぶやく。              「変わってないな…。この景色…。」 彼の名前は、茂野 裕也。 2年ぶりに実家のある街に帰ってきたところで、緑豊かな風景に見とれていた。 そんな時、携帯の着信音がなった。 携帯を取り出し、画面を見てみる。 姉の友梨からのメールだった。 【今どこにいるの?もう駅についた?】 【もうついたよ。ちょっと景色みながらゆっくり行くから。】 そう返すと、ゆっくり歩きだす。 懐かしい場所を歩きながら、あの場所が見えてきた。 さくらの咲きあれる、一本道。 それは今も変わらず、鮮やかにさくらの花びらが舞っていた。 ゆっくり歩いていく。 ベビーカーをひいた女の人や、若いカップルなどがいた。 「やっぱり変わんないな…。ここも…。」 昔に何度も家族とここにきた。そして、あの少女ともあったこの場所。 子供のころは、なぜかこの場所が神秘的に見えた。 だけど、今の俺にそんな感情はない。 このさくらを見ても、今はキレイという感情以外は何も感じない。 「…不思議だな。」 そう呟くと家に向か 自分を見つめる視線に気付きもせずに…。
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