依存監禁

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「………!」 不意に、 拳を上に振り上げたまま、裕一は硬直した。 「…うっ……うぅ……」 …雪が…泣いている。 痛いから…?それとも……。 (雪……) よくよく考えれば、いくら兄の裕一が普段どんなことを考えてるのか読めない雪でも、あんな監禁まがいな行為をするような人間ではないことは理解していたつもりだった。 ……もし、 もし今までの悪夢のような出来事が本当に夢だったのだとしたら…? そう思うと同時に罪悪感が体中に駆け巡った。 「……俺は」 裕一は上に振り上げていた右手で頭をおさえた。 頭の中でグルグルと、まるで自分を中心で周りが…世界が高速で回転しているような錯覚に陥る。 「ひぐ…ッ……ごめん…なさい……」 雪の泣き声混じりの言葉でハッと我にかえる。 「……ッ違うんだ!雪!」 まだ混乱気味の裕一は、雪に誤解を解きたくて必死で、…次の瞬間には思わず、正面から雪を強く抱き締めていた。 「ぁ……」 抱き締めると、雪の身体がひどく怯えていたことに今更ながら気付いた。 …理由も分からず、いきなり暴力を受けたのだから怖かったのだろう…… 「……ごめん。俺…本当にバカだ。許せなくて当然だと思う…だから――」 雪の気が済むまで、傷つけられてもいい。 …そう雪に告げようとしたが、何故か次の言葉が出てこなかった。
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