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パネルの前にいる者が彼女の検査開始の指示を待っている。
彼女はそれを目の端で確認し、ガラスの壁に手を添える。
「あなたの力を、私達に見せて」
外から聞こえる彼女の声に反応を示した。
閉じ込められた人間は声がした方角へ走りよって来る。
「そうすれば、早く終わるから。大丈夫、あなたなら出来るわ」
彼女の励ましに少年か少女か分からない人間は彼女と同じように、彼女の手に重ね合わせるように手に添えて
笑った。
そんな様子を見て、彼女は不覚にも泣き叫びそうになった。
こんな事になったのは自分のせいなのに、こんなにもひどい事をしているのに、そんな事意にも介さず、こうやって話しかければ必死に走りよって来てくれて。
笑いかけてくれて。
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