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ダークは一瞥をくれるとそのまま部屋の中部へと入っていった。
『誰ですか?あの女』
小声で林に聞く。
『詳しい事は後で話す。
ただダークが居るのは難事件の時だけだ』
『じゃあ、この現場も…?』
林は小出の肩を軽く叩くと鑑識を指差した。
『情報もらってこい』
小出はすぐに靴を脱ぎ玄関から見渡せるリビングへと足を運んだ。
そこだけ人の山が出来ている。
その中に顔見知りを見つけ声をかけた。
『山さん、ちょっと』
山さんは人をかき分けて出て来てくれた。
もう50歳近い鑑識のベテランだ。
林と仲が良いので、小出も真似して『山さん』と呼ばせてもらっている。
刑事課に配属されて林の部下になった時からの付き合いだ。
時々飲みに連れてってもらっている。
『どんな感じなんですか?』
『死後1日から1日半という所だろう。詳しくは解剖してみないと何とも言えんがな。
死因はおそらく毒物によるものだ。
被害者の手を見るとそれらしき反応が出ている』
『毒物、か』
山さんは白髪になった長い前髪をうるさそうに払った。
オシャレには全く気を使わなくて良い、気楽なやもめ暮らしなのだ。
『詳しい事が分かったらまた言う』
山さんはそそくさと戻った。
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