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「文芸部部長、文月 詠先輩……ですか?」
ようやく聞き出した文月先輩は、最後列の窓際に座る「文学少女」といった線の細い先輩だった。
「……そう、ですが?」
読んでいた本から顔を上げ、怪訝そうに南鳥をみる。
下級生に声をかけられたのだから当たり前か。
「名凪学園調査部の千代って言います」
調査部の名前を出した途端、その瞳が輝く。
「調査部の!?
ってことは、あの依頼……」
ガタンと椅子を鳴らして身を乗り出す。
「はい。
探偵部、正式に文月先輩の依頼をうけ、ってうわわ!?」
突然抱き着かれ、慌てて体勢を立て直す。
「ありがとう……!!」
ちょ、細そうに見えて出てる部分とか女の子特有の柔らかさとか甘い香りとかなんかそんな感じのものが―――!?
「ちょっと、詠。
その子困ってるわよ……」
そういって文月先輩を引きはがしてくれたのはボーイッシュな先輩。
「あ、ごめんなさい……」
「い、いえ……」
謝られるとどうしていいのか……
役得だったかな?
「ボクは古雪 舞(ふるゆき まい)。
文芸部の副部長だよ。
君は探偵部の人だね?」
よろしく、と握手を求められる。
「あ、どうも……」
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