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最後に文芸部員がその猫を目撃したのは食堂棟の裏手らしい。
と、いった感じだ。
「ふむ……。
目撃者がいるということはその猫、何か特徴があるのかな?」
おお、部長探偵っぽい。
そんな事を思っていたところ、部長が得意げにニヤリと笑って見せた。
「あ、はい。
赤い首輪と……耳、です」
「耳?
何か変わったお耳をしているのか?」
その言葉にコクリと頷く。
「あの、三毛猫の耳って立ってるじゃないですか?」
言われてみれば、記憶の中にある三毛猫は全部耳は立っている。
「あの子は、耳がぺたんって寝てるんです」
ぺたん、と頭に手を置いてジェスチャーで表す。
「ふーむ……。
成る程成る程、概要は把握した」
腕を組みうんうんと頷くと部長はおもむろに席を立った。
「"とりあえず"行方知れずのにゃんこ捜索ということでこの件に当たってみよう」
聞きたい事があればまた呼んで下さい、ということで文芸部の二人は帰っていった。
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