File1「にゃんこ失踪事件」

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最後に文芸部員がその猫を目撃したのは食堂棟の裏手らしい。 と、いった感じだ。 「ふむ……。 目撃者がいるということはその猫、何か特徴があるのかな?」 おお、部長探偵っぽい。 そんな事を思っていたところ、部長が得意げにニヤリと笑って見せた。 「あ、はい。 赤い首輪と……耳、です」 「耳? 何か変わったお耳をしているのか?」 その言葉にコクリと頷く。 「あの、三毛猫の耳って立ってるじゃないですか?」 言われてみれば、記憶の中にある三毛猫は全部耳は立っている。 「あの子は、耳がぺたんって寝てるんです」 ぺたん、と頭に手を置いてジェスチャーで表す。 「ふーむ……。 成る程成る程、概要は把握した」 腕を組みうんうんと頷くと部長はおもむろに席を立った。 「"とりあえず"行方知れずのにゃんこ捜索ということでこの件に当たってみよう」 聞きたい事があればまた呼んで下さい、ということで文芸部の二人は帰っていった。
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