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(食堂棟の裏に来たのはいいけど……)
キョロキョロと辺りを見回す。
(完全に草原だよね!?)
辺りには生い茂る雑草があるだけで他には何も見当たらない。
(よくこんなところで目撃されたなぁ……)
生えている雑草はかなり背が高く、見通しが悪い。
こんなところで一匹の猫を見つけるのは……
「無理、だよなぁ……」
自然と声がこぼれた。
と、その声に反応してなにかが茂みの中で動いた。
(にゃんこ!?)
捜している猫かもしれない、と南鳥は雑草の中へ飛び込んだ。
草を掻き分け、奥へと走る。
その間にも音はどんどん遠くへ行ってしまう。
「待って……てうわわ!?」
突然現れた"何か"を踏んでバランスを崩す。
「いたっ!!」
生い茂る雑草に阻まれて体勢を整えられずそのまま派手にコケてしまった。
「なんでこんな所に……」
起き上がりながら落ちていた物を拾う。
南鳥が踏んだもの、それは金属製のメガネケース。
(ここに落ちてたんだから証拠品になるかな……)
誰が見ている訳でもないが、こっそりとポケットにしまい込む。
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